写真と空と自転車と

タグ:古民家 ( 38 ) タグの人気記事

芸術の秋 02 拭き漆で甦る大和棟

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わが家にとっては憧れの古民家にお住いのMさん。以前から屋根の葺き替えが終わったとか、京都の唐紙屋に注文に行ったとか、家を継承することを念頭に置いた丁寧な改装している話を聞いていました。その改装が完成して、リノベーション見学会「拭き漆で甦る大和棟」に誘ってくれました。

代々つづく大和棟の庄屋屋敷は築300年。玄関を入って広い土間の天井は、長い歴史を刻んだ太い梁組みが風格を感じます。ところどころに写真パネルが置かれていてビフォア、アフターの比較ができます。室の格を表す高低差はもういらないということでしょう、板間と奥座敷との段が取り払われて、フラットになっていて、張り替えられた玄関の上り框から板の間は全て上質の桧板が貼られ、拭き漆で仕上げがされていました。

奥の座敷は、群青壁に塗られた床の間。金沢では群青や紅殻で塗られることも多く、昔は顔料としてラピスラズリが使われたらしいが、今ではあり得ないものなので化学顔料です。古い写真の群青壁は300年を経ても鮮やかな群青を保っていました。青い壁も違和感はなく、居心地のよい部屋になっている。細かく見ると釘隠しや違い棚、海老束、欄間の意匠などいたるところに細やかな手仕事の技を感じます。唐紙は京都の唐長。もともと使われていた版木が見つかったので同じものにしたそうです。雲母刷りのほのかな輝き。

築300年のお屋敷は古民家ならではのしっかりした構造を活かし、手の込んだ手仕事のいい部分を残して、きめの細かい配慮がなされた改装によって、古くて新しい空間になっています。今の時代にはもう作ることの出来ない古民家の質感がいいですね。これからさらに数百年引き継がれる家になっていました。我家はこんなに上質な古民家でなくてもいいのですが、早く物件が出てくることを祈っています。

土間の奥には5連の釜戸があり、この空間は今後はギャラリーやカフェなどで使われるとか。この角丸両面取りのタイルはもうありません。大切に使ってください。最後の写真は池大雅の書。ちょうど300年前の人なので、300年使われて今でも生きているアートなのだ。さすが・・・・。

トークセミナーは漆職人の辻利和さん。漆職人の仕事が半分に減ると、10人いればすべての職人の仕事が半分になるのではなく、5人に仕事が行かなくなるので、職人の数が減っていくのだそうだ。きびしい世界のリアルな話です。




この家から数分のところにある古市古墳群は、世界遺産登録をめざしています。ユネスコには認めらることより、いいものはいいという、日本人が価値観を失わなければそれで充分。失われていくモノやコトを継承することは大変ですが、いいものはいつまでも長く使い続けることが本当の価値を活かすということでしょう。

最近知ったのですが、古墳は遺産ではなく皇室によって今も継続して祭祀が行われている天皇家の「生きたお墓」なんですね。

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by knos3 | 2018-11-21 00:00 | 住まい | Trackback | Comments(0)

芸術の秋 01

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10月になって、夜風が肌寒く感じる頃、ちょっと喉がガラガラしている。みなさん、健康に気をつけましょう。

大阪で作品の展示会があると姪っ子からメールをもらったので、早速行ってきた。ポタリングには最適の季節。桜宮公園を大川に沿って南へ下っていく、堂島川に面する堂島リバーフォーラムでのART NAKANOSHIMA 2018。

久々に見る姪っ子の絵、タイトルは「LAKE」。なんともいえないけどピンと感じるかどうかなので、どことなく下半分に水面の輝きを感じます。あかるい いい絵でした。主催者の奥村さんもいい絵だとおっしゃてました。昨年2017の奥村大賞にも選ばれているそうです。YKGのオーナーさんにもお会いしました。

絵が好かれるということは、すばらしい出会いだと思います。ひとりひとりに、好かれることが、大切なので。いい絵を描きつづけてほしいものです。陰ながら応援しています。

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by knos3 | 2018-10-22 11:13 | 住まい | Trackback | Comments(2)

榛原から高見川ー吉野川 02

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月うさぎの辺りは標高650mと高いので、この時期でもそこかしこに いい姿をした満開の桜が残っている。新緑の萌黄色に混じった桜がおだやかな春の色を感じさせる。虎屋の「春の宵」が想い浮かぶ・・・・、花よりだんごか。

高見川に沿った「よしの庵」は築300年から80年の古民家。母屋は2階建てになっているので明治時代以降に300年の材を使って建替え増築されているようです。骨太の母屋に質の高い広間が増築されていて、書院の床の間や違い棚などいたるところに黒柿が使われている。欄間や建具の組子も手の込んだ作りになっており、数寄者の好みがあらわれている。ひと部屋は板張りの床に薪ストーブとソファーが置かれ、心地いいリビングルームになっている。これに大きな納屋があれば我家が考える理想的な古民家ですね。もちろん蕎麦もおいしい・・・・。ここでもゆっくりして1時間の小休止。

丹生川上神社中社を通って「麦藁」まではあっという間に到着。休憩ばかりにならないようにと、一番人気の天然酵母のバケットと小さいパンをふたつだけ買ってバッグに詰め込んで走る。ここからは谷が開けて単調な下りがつづくので、ただただひたすら風に向って吉野川まで走っていく。向かい風ですが初夏の風がきもちよく、ゆっくりといいながらもついつい本気で走ってしまう。吉野の上千本は桜も満開で見頃ですから多くの人でにぎわっているはず。ひとつ手前の吉野神宮前駅で聞いてみると ちょうど花見客で混み始めているらしい。足を伸ばして終点の吉野駅から乗ることにして、少しだけ上ると ここまで63km。余裕で愉しめる大人のツーリングとしては程よい距離でした。

吉野線は特急を除けば電車は1時間に2本しか走っていない。16:37阿部野橋行き急行に乗り、18:12阿部野橋に到着。橿原神宮前までは単線なので特急でも各駅に止まる。二上山の麓を走って 延々と1時間35分の電車の旅を愉しむ。吉野は実際の距離よりも時間的に遠い町だと感じてしまうのだ。いつもは眠っているから気にならないのか・・・・。

IさんOさん、お疲れさまでした。いい季節のうちにまた走りましょう。

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by knos3 | 2017-04-27 22:00 | ツーリング | Trackback | Comments(0)

巻向から長谷寺、古民家ツーリング

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人が住むには建物だけではなく、土地柄や施設などの周辺の環境が大切なこと。そこは現地に行って周辺を回ってみて、そこでどんな生活をしているか想像してみる。。我家は車がなくても生活できることが条件なので、電車から徒歩で最長30分まで。近くに歩いて行ける食料品を扱っている店があること。出来れば世代交代が進んで子供がいる町がいいと思っている。

伊賀、赤目、琵琶湖周辺では東近江、近江八幡といろいろ見てきたが、奈良に住んでみると、奈良はいい。家はそんなに大きくなくてもいいが、平屋で小屋裏のある家。庭があって、木工所ができるような倉庫が欲しい。できれば土間、釜戸・・・・と言い出せばきりがないが。愉しく暮らすには、台所がけっこう重要なポイントになるのだ。

ネットで見た古民家は近いところなので下見を兼ねてツーリング。巻向といえば連休に山辺の道へ行ったときに下っててきたあたりで、近くに箸墓古墳がある。ここからならまっすぐ東へ走ってやや南へ行ったところ。田圃のなかを吹き抜ける朝の風は涼しい。まほろば線を超えると、どうも巻向と柳本の間。

地図で場所はわかっているので、駅を探してルートを辿っていく。外から見ると風情は悪くない。裏庭には鉄骨造の古い倉庫があるが、集落のど真ん中なので騒音が問題になるかもしれません。

長谷の物件も廻ってみる。途中で出雲という地名がある、どっちが先なのか調べてみないといけません。ここが出雲なら、話は分かりやすい、大国主はここなのだと勝手に想像を逞しくする・・・・。参道に面した物件は風情は悪くないが 、ここも木工所ができる場所ではないか・・・・。

いろいろ見てきたが、奈良には古くからの歴史があり、豊かな自然とゆったりした暮らしがある。時間がゆっくり流れているのは、こころが豊かなんだろう・・・・。奈良はいい。

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by knos3 | 2016-07-30 21:12 | ツーリング | Trackback | Comments(0)

明日香から五條へ

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解体中の古民家からいただいた建具を引き取りに行ってきた。五條への道すがら明日香へ寄り道。混み合う石舞台の上に車を停めて周りを散策。鮮やかな新緑に映える山の麓に明日香村はある。広場の緑、木々の新緑が鮮やかに光る。手入れされている民家が多く、生きている集落。明日香村は観光に力を入れているようで、10年ほど前に来た時よりもずいぶん道路が整備されて、分かりやすくなっていた。

五條の家から救い出された建具は書院周りの違い棚、建具、床の間の天井、座敷の欄間、建具、台所にあったいくつかの番重、花器、どれもよくできたなくなってしまうには惜しいモノたち。埃にまみれた建具の埃を払って、井戸で洗ってダイハツハイゼットの荷台に積み込む。軽自動車なのに建具がきっちっり入ってしまう荷室はモノを運ぶために特化された優れもの。乗用車タイプではないが、大阪と奈良を高速道路で移動しても、制限速度の範囲内なら快適な走りが愉しめる、これは新たな発見。

五條の町には、新町という通りがあって、旧伊勢街道の江戸時代の商家が並ぶ。日本最古の栗山邸や中邸など次の機会に是非行ってみたいところだ。吉野も下市も・・・・・。

下にあるロープで吊るされた違い棚の写真は、近くで見つけた古道具屋で、二階の倉庫から下して見せて頂いたもの。筆返しが付いた欅の一枚板。古びていい色になっています。他には張り物の違い棚が外に捨て置かれていた。ここで黒檀の縁が付いたチーク材らしき手あぶりを手に入れてきた。飾り気のないいい店です。

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by knos3 | 2016-05-10 10:00 | Trackback | Comments(2)

黄金連休 街の古民家

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ひさびさの休日、やすみはいいものです。高いテンションを維持して3週間、まだ体が馴染んでなくて、疲れてきたところで連休です。天馬から北浜で用事を済ませて、のんびり街の中を流していると、青い空に白い雲の流れが早い、北風が強いので少し肌寒い。

「宮脇綾子アプリケ」という本を古本屋で手に入れた。宮脇綾子さんはアプリケを教えているtwtrf2家のお母さんの師匠である。私が生まれた時代からの作品集ですが、食べ物と身の回りにある当たり前のモノをモチーフとしている。普通の生活の中から美を取り出す目の付けどころが鋭い。これからの生き方で目指す方向は「普通がいい。個人的ではなく一般的な普通の感覚があればこそ、長い時代に受け継がれて洗練されていくものなのだ・・・・。伝統と現代が違和感なく調和している。

ときどき古い着物の端切れを買うので、天神橋商店街の呉服屋の店先を物色していると、絹の総絞りや、よい色合いのちりめん、友禅など、良質の端切れが置いてある。隣で見ていたおばあさんが話しかけてくる。今のモノと比べると昔の人が染めた端切れはいいモノがある。羽織の紐に片側に蜘蛛の巣が、片方には蜘蛛を描かれていて、蝙蝠の柄もあり、一風変わった粋な紐があったり。友禅に描かれた牡丹には小さな蟻がいたりと、洒落っ気がある。自分の目で観察して初めて見えてくる自然の姿がありのままに描かれているわけです。古い布の魅力は長い時間をかけて繰り返し描かれて、その積み重ねられた洗練の中から、自然を通して滲み出てくる面白みというモノがいいのだろう。決して作者の個性的な表現ではなく・・・・、

おばあさんが語る話にしばしおつきあい。古い着物をほどいて洗う時は、脱水してすぐ乾かす前にアイロンをかけるとシワがなくなり、張りのある生地になっていいらしい・・・・。好きな端切れを集めて、袱紗をつくったり、軽く羽織る衣服を縫うことが楽しみ・・・・。天神橋商店街を端から端まで歩いて天六から地下鉄に乗って天王寺まで帰るのだそうだ。東寺の弘法さんもいいけど広すぎる、四天王寺の市も面白いと語っていた。

偶然の出会いですが、おばあさんと会話をしていると、いいモノを見る確かな目がある。こういうのが日本の文化度の高さなのだと思う・・・・。先日買った本の中でも日本の伝統工芸の質が落ちていることを嘆いていた、昭和50年代の文章ですが・・・・。どこかやりすぎていると言っている。というのは、私の言葉では小指が立っているデザインと言っていますが、やりすぎないで一歩手前でやめることで余分な個性が出ないようにすること、それでも仄かな個性がにじみ出てくる姿がかつての日本の美意識なんでしょう。

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by knos3 | 2016-04-29 16:56 | 住まい | Trackback | Comments(0)

網干ー室津ー相生 ツーリング 02

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1年ぶりの室津の町並みは格子がきれいになっていた。町で決めて各戸で掃除したのだろうか、そこかしこの建物がきれいになっているようにも見えます。反面、取り壊されてなくなっている家もある。いつものY家もきれいに洗われて格子の中には、チップスター梅味が置かれていた。世代がかわってもこの窓の飾りは受け継がれているのだ。

昨年も訪れた室津民俗館、かつての豪商魚屋の屋敷だった建物は丁寧に維持されている民家です。土間には大きな四連釜戸と水屋があり、こんな台所が理想的に思えます。よく見ると丁寧な仕事で仕上げたモルタルでした。井戸がある水場は外にあり、つながる土間の大きな釜戸と水屋の配置がよく、作業の流れが見て取れる。台所の屋根裏は納戸になっていて、小さな開閉式の天窓ひとつで土間は明るい。今はガラスが入っているがかつては雨が降りこむ作りだったのだとか。

母屋は光の入り方が工夫されていて、格子を通して障子にうつる春の光が、部屋のなかに面白い表情を与えている。気になる書院は、幾重にも障子が重なって奥行きを感じる作りになっている。ここで静かに本を読む、窓辺の書斎なのだ。本来の書院造りからは様式化されて簡素なモノになってはいるが、この窓辺の空間はいいものですね。書院造りの要素である違い棚は、海老束がくり抜かれて棚が浮いたような軽やかな意匠になっている。こういう細かい部分の意匠を見ると、角は几帳面が取ってあり、西洋の面材とは一味違う奥ゆかしい表現だ。でも、どうやって留めているのだろう・・・・。床に座る低い視点から見ると、違い棚、天袋などの裏がよく見える・・・・ここも見せ場なんでしょうね。ケヤキの一枚板や、網代が組んであったりするのは。そういうことか・・・・。

なにげない道具も、いくつかあって日常の煙草盆、算盤がならぶ作業机、簡素ながらもちゃんとした作りになっている。昨年も見た漆の盆は、手斧の跡が裏に残っている、意図的な意匠ではなく板を挽いたときの跡なんでしょう。こんなところの仕上げが気になります・・・・。客用の物となると香の物の器は白磁が使われているし、裁縫箱は蒔絵だったり、贅を尽くした豪華なものと、簡素な日常のものを使い分けている。とはいえ、いたるところに意匠をこらした技が見える。手の込んだ七宝文様の格子、敷居の下にある巾木のようなところに、凝った意匠があったりするのは、なんなんでしょうか?

この古い民家には江戸から昭和までのブリキの水筒や魔法瓶まで、使われていた当時の道具がおかれていることが魅力です。現代のシステムキッチンも扉に隠されていました。私にとっては何度来ても見飽きない家なのですが、隣で嫁が少し呆れてます・・・・。来年は駆け出し職人の目でまた見に来ることでしょう。たぶん・・・・。

室津にきた時は、牡蠣と釘煮は欠かせません。その後でM本商店で釘煮をと思ったのですが、今年は漁が遅れていてまだ出来ていないのだそうだ。いつ穫れるかわからないが、出来たときでいいのでと、お願いしてきた。変わらぬ海に見えても。海の中では魚の動きは変化しているのだ。

早いうちに室津を出て、相生までまっしぐら、P温泉で冷えた体をあたため、ほっと一息。春一番のツーリングは室津で牡蠣、いい1日でした。

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by knos3 | 2016-03-24 21:30 | ツーリング | Trackback | Comments(0)

煙突の町、常滑へ

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母を連れて小旅行。慣れない名鉄電車に乗り、間違えながらやっとついた常滑の町。六古窯のひとつであり、今LIXILかつては伊奈製陶からINAXの本拠地である。常滑駅に入る手前に大きなLIXILの文字が見える。INAXといえば今をときめくトイレの革命、シャワートイレはこの会社が開発した商品。LIXILとなった今はなんだか遠い存在になってしまった感がある。

駅北側に見える小高い丘が、窯の煙突が立ち並ぶ古くからの焼き物の町なのだ。散歩路になっていて、窯やギャラリー、カフェなどが並び、ぶらりと覗いてまわるにはいい散歩道だ。高い煉瓦造りの煙突とトタン張りの黒く塗られた壁が印象に残る。近畿は商人の町並が多いが、ここは煙突が象徴するものづくりの町、豪華なつくりもなければ、瀟洒な飾りもない、職人の町だ。煉瓦の煙突や窯場は明治から昭和の時代までの繁栄した焼物産業のなごりなのだ。働く窯場だから、そこかしこに土管や大きな甕が捨て置かれている。黒く塗られたトタンや錆びた鉄の扉もここで見ると悪くない。働く町だから・・・・心が落ち着く・・・・。

この時代のインダストリーは煙突、木造や煉瓦造りの建物、窯、焼物を置く板、鉄の扉、黒い下見板から黒いトタン張りの壁に至るまで、道具から製品の全てが自然の素材でしかも手でつくられるモノ。木と土の伝統の文化に、近代の鉄とガラスが加わった時代のインダストリー。土、木、鉄は古くなってもいい味が出てくる。錆色も美しく感じる日本人の感覚がある。簡素な木造の建物のなかに大きな窯があり、内部は溶けた釉薬で覆われている。建物の小屋組はしっかりとした材が使われ、整えられた美しさはないが簡素な力強さがある。

使われて100年経ったモノには古びた味わいの魅力がある。ここ常滑には、伝統の工芸品ではなくインダストリーデザインの香りがある。そこが、いいのだ。工房を探している者にとっては、工場と倉庫、窯、住居が最適な配置になっている。こんな町を探していたのだ・・・・。

いくつかの店で話を伺う。空港ができてからは人が遠くからも来るようになったが、まる1日とどめるだけの観光資源が無いので半日コースになる。散歩道の起点にある店は午前中しか人が来ないのだとか・・・・。真ん中あたりで食事をして、重い焼き物は最後に買う。こんな散歩の仕方が多いのだとか。ほどよく配置されたように見える散歩道の施設も、自然発生的にできたらしい。時代にあった今風の商品を並べたギャラリーもあるし、質の高い地元の作家の品を展示したギャラリーもある。

侘助でお昼をすませて、隣の陶器の店でまた話を伺う。オーナーさんは流木作家で、早くから退職して作家として生きる道を選んだのだそうだ。しばらくするとオーナーさんがやってくる。今なんとかなっているので、50年後もきっと愉しく生きているだろう・・・・。徐々に仕事を減らしていって、好きなことをして愉しく暮らすことが一番という・・・・、同感です。

坂を下りていくと今度は古い工場を利用した店が並んでいる。入り口はモザイクタイルの店に見える、修英舎。奥に入ると窯跡がギャラリーになっており、食器、文机、膳など味わいのある品が並んでいる。そこで見つけた高漆鳥文角膳。高さが低く、床に置いて座布団でコーヒーを愉しむのにちょうど良い。他にも大きな甕、大理石の塊は魅力的な置物に、ニワトリの餌入れは花器によさそう。本来の使い方とは違うが、モノの持つ存在感があり魅力的なモノが多く置いてある。もとはタイルの会社で営業をされていて、この方も早期退職で木工の学校へ行かれたそうです。ここもいい店ですね・・・・。

そのあとは、2階がギャラリーになってる、morrina。まるで鉄のような質感の常滑焼の急須でしたが、常滑焼きにこだわらなくとも、いいものはいい。普段に使える生活の道具が選ばれておかれている。その目がいい。

とまあ、適当に覗いて見るだけでも、面白い人・物・空間があって、常滑は思いの外に面白い町になっていた。予備知識がなく時間切れで、陶栄窯、INAXライブミュージアムなどは行けていないのでまた今度・・・・。

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by knos3 | 2016-03-19 22:30 | 生きる | Trackback | Comments(2)

つなぐ 木工展-家具はじめてん

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奈良県立高等技術専門校の修了生による「つなぐ 木工展-家具はじめてん」が始まっている。奈良県の支援で奈良市の奈良町物語館 にて、2月24日(日)まで開催されている。

ひさびさの古都奈良。このところ自転車で来ていたので近鉄電車で来るのは数年ぶりになる。奈良公園から奈良町にかけての古い町の風情がすきで、まずは散策。おなじみの「志津香」へ行ってみるが、店がなくなっている・・・・、東大寺にも店があるので、釜飯は展示を見てからにする。興福寺への坂を登って五重塔をながめる。猿沢池に下りて奈良町の古い町家が並ぶ通りを抜けていく。古い町家を使って新しい店に変わっているが、いきいきとした活気のある町に人は集まるので、奈良の町が生き返るには必要なことだろう。樫舎の前を通って、突き当りに奈良町物語館がある。

奈良町物語館は古い町家を再生したギャラリーで、小屋組を露わにした雰囲気のいい民家の空間に新作の家具たちが並んでいる。みなさんが初めて発表する展示会。

まず目に留まったのは挽物、CHILINの阿部 満さん。器に興味があるのでまずは木工旋盤で挽いた器の数々。ウォールナットですが薄く挽かれているのでとても軽い。作品というよりは日常で使える器を作っているのだとか・・・・いいですねこういう実用の器は。奥には食器棚。構造用合板をそのまま使っていて、扉に工夫がある。框の見付を小さくするために合板の厚みをそのまま見せて、溝を切ってガラスをはめている。上からの落し込みで押さえは上だけ。聞いてはじめてわかるこだわりの工夫。

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受付をみると、昨年の専門校展でお見かけした顔が・・・・。階段ダンスを作っていたPujaの大竹 奈々さん。ターナー、しゃもじ、などの小物から、ウインザーチェア。低い座面とラウンドした背もたれによって、包み込むような座り心地がいい。なんとかいう松の古材とケヤキを使った棚がシンプルで和の佇まいを感じる立ち姿がいい。ふたつの材を使っているが色合いがうまく合っている。古民家に似合うでしょうね・・・。


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もう一人は、昨年スピーカーを作っていたLINEの市原 光張さん。薄く、細く、かろやかに、端正な線を感じるテーブルが2点。天板の面と脚の面がつらいちになっていて、より一層かろやかさを感じる工夫がある。方や、どっしりとした素材の重さを見せる、角火鉢。座敷の座る生活で、冬の暖をとりながらくつろぐにはいい。座布団に座って話をしていましたがこころが落ち着きます。脇息の話をすると、作ろうと考えていたそうです。


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初めての展示会でいろいろ話を聞かせていただいて、これからの夢がかってに大きくふくらんでいく。まずは学校に入ることなのですが、技術を身につけて、いいものを作る。さらにみなさんの会話の中でも出ていましたが、作ることはできても、売ることがむずかしい・・・・。価格はすこし安めの設定ですが、売ることが次の制作につながるので、この世の中では永遠の課題です・・・・。

工場は最低でも20坪から、40坪あれば大抵のことはできるそうです。でかいですね。そして売るためには見せる場所が必要・・・・。木工所+展示室+住居=古民家と考えているのですが。

みなさんの作られたモノをみて、三者三様個性がある。さて、自分は何を作るのか・・・・。

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by knos3 | 2016-01-22 21:00 | 造る | Trackback | Comments(0)

またまた東近江へ

12月のお題 - 「冬枯」

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12月になって東近江の家は、畳が新しくなり室内がきれいになったというので確認にいってきた。植木も整理され2年前の写真に近くなっていた。いつ見てもいい家だ、と思うのは我家の生活スタイルにぴったり合っているからそう感じるのかもしれません。

納屋で木地を挽いて、納戸で漆を塗る。広い土間のまん中にカウンターを造って、そこで毎日朝晩のまかないをする。本を読んだり寛ぐのにも絶好の窓辺があるし、納屋の2階にはPCを置いて、SPをセットする、大人が遊ぶ空間としては最適だ。蔵も庭もいい。広すぎるくらいですが毎日を愉しく暮らしている姿が目に浮かびます。畑はないのでどこか近くに小さい畑を借りないといけません。低負荷生活にはかかせないモノです。

しかし、車を止める場所がないのは残念なことです。車はなくてもいいように公共交通機関で行ける場所を選んではいるのですが、これから何をするかにもよりますが、車が必要になった時のことも考えておかないといけません。




夏の間は一面の草に覆われていた庭は、草を刈って枯れた姿でも自然はしっかり生きている。蔵に絡んだ藤の蔓、屋根にかかった柿の枝から瓦に積もった落ち葉、床板や敷居は白蟻が食んでいる。こうして人の住まない家は自然の力によって痛んでいく。ブロック塀でさえ蔦が絡んでいくのを見ていると森の国なのだと感じます。豊かな自然の力と戦いつつ・・・・人が手をかけて自然から家を守っていくことを実感します。都会の生活しかしたことのない我家にとっては手強い敵になってくれることでしょう、たぶん・・・・。

都会から田舎へと、こういう環境で暮らしてみたいと思うのは粋狂なこと・・・いや、都会は大好きなので、理想を求めた田舎へのあこがれで移り住むわけではありません。なにかと手間がかかり、このうえなく不便はことを愉しむ余裕と体力があればこそ出来ることではありますが、これから世の中どっちへ転んでいくのかわからないので、低負荷生活のひとつの方法を試すラボラトリーのようなものと捉えています。そのために、まかないも木工も畑も含めてそこで生きるための技術を日々学習。今までのように利益のための学習ではなく、生きていくために必要な技術を身につけること。その延長線上で、人の役に立つまでのモノになることを目指しています。

もうひとつは今まで多くの人にお世話になってここまで生きて来れたわけで、なにかのかたちで恩返しをすることができればと思っている。そんなことを想いながら夢をふくらませているわけです。

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knos3

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by knos3 | 2015-12-14 23:50 | 住まい | Trackback | Comments(0)