写真と空と自転車と

形が見えてきた、吉野檜厚突板曲物スピーカー

c0015099_09013174.jpg
c0015099_09020846.jpg

はじめてのことばかりだし、いい音で鳴らすことを目指しているので、あらん限りの想像力を逞しくして・・・・。

1.5mmの単板を3枚接着した側板を加工。キソアコースティックやアコースティックギターを参考にして力木を配置する。見た目のバランスをみて、美しい比率は美しい音につながるはず・・・・たぶん。材がヒノキなので響きすぎないように振動は抑えめの方が良さそうに感じるので力木の高さは17mmと高めにした、ギター職人がやるように削りながらコンコンと叩いて音を聴いてみる。先を細く削っていくと響きが均一になり、ただの板から響きを感じるようになる・・・・微妙なことはよくわかりませんが、そんな風に聴こえてくるから不思議なものです。

ギターは、弦の振動がブリッジボードから表板に伝わって共鳴し、側板や裏板にも伝わってボディの中の空気も共鳴し、サウンドホールから音が外に出ていく。弦の振動をボディ全体で最大限利用するしくみになっている。弦の振動を漏らさず共鳴させること。

対してスピーカーはスピーカーユニットの振動版が前後に振動して前に音を出す。後ろにも逆相の音が出るので、打ち消し合わないように後ろ側を箱に閉じ込めて音を消すわけです。他にもスピーカーユニットは振動版からフレームに余分な振動が伝わるので、バッフルに固定して振動を抑える。というわけで、振動板の前面から出る音以外は消すことが今のスピーカーの主流となっています。今のスピーカーは解像度が高くて個々の楽器はよく聴こえるし、小さな音の細部も聴き取れるのですが、どこかつまらない。私の耳とは進化の方向が違っているということでしょう。箱を鳴らすかどうかの違いじゃないかと思っています。

数年前にふらりと立ち寄った店でキソアコースティックHB−1を聴かせてもらった時、小さなスピーカーから豊かな音が聴こえることに驚きました。その時は新旧4つのスピーカーを比較させてくれました。私の耳にはアルテックA-5、タンノイ、レクタングラー・ヨークの音がが好みの音に聴こえました、同じ系統に感じるのは38cm高効率ユニットであり、ホーンや箱でユニット以外の音を付加させている。キソアコースティックはというと、また別の音ですが10cmの小さなユニットとは思えない堂々とした音で、部屋全体に響きが広がる好みの音でした。B&W 800Dは今時のすばらしい音はさすがです。どれも良いのですが、あとは好み・・・・。

twtrf2さんのさまざまな樹種の材を使った実験では、バッフルがブビンガ、箱がピーラーがいいという予想通りの結果でした。ギターで言えば弦の一端を支えるネックや指板にマホガニ、黒檀、などの硬い木を使って、もう片一方の弦の端はブリッジボードから柔らかいスプルスの表板へ響きを伝えることで豊かな広がりのある音をつくっている。硬い木と柔らかい木の使い分けは、スピーカーならユニットを固定するバッフルは硬い木がよく、箱自体は響きのいい木がいい・・・・。

今回の桧スピーカーは、まず先に桧の単板を積層した板の響きが良さそうなことから始まり、楽器のようなキソアコースティックをお手本にして箱を考えている。ユニットの振動を厚いバッフル板で抑えて、後ろから出る音はできる限り桧の薄板で共鳴させる響きいいスピーカーを目指しています。その響き具合と抑える程度がポイントですから、余分な響きが出ないように背板と側板を精度を高く組んで、箱自体の振動ががボンボンと鳴らないように、叩いてカンカンという音にすればいいのかな・・・・。

あれこれ考えていますが、現物を作ってみて音を確かめる実験です。

さて、次はバッフルの木どり、木づくり。つくりながら考えているので、なかなか先に進みません。


180405

knos3


180403 吉野檜厚突板曲物スピーカーのその後
180314 吉野檜厚突板曲物でつくるスピーカー
180105 心地よい音を聴きたい
171222 スピーカーの図面を描いてみた。

c0015099_11472979.jpg

c0015099_09025299.jpg





# by knos3 | 2018-04-13 21:00 | 木工所「折々」 | Trackback | Comments(0)

竹中大工道具館「木の国フィンランドの伝統と革新ー工芸村フィスカルスとニカリの物語」ー カリ・ヴィルタネン

c0015099_11401433.jpg

c0015099_19095872.jpg

c0015099_19061799.jpg

c0015099_19042050.jpg

c0015099_11123174.jpg

c0015099_11110685.jpg

c0015099_11140492.jpg

どうもフィンランドに縁があるようで、昨年はフィンランド・デザイン展に出会ったし、今年は 竹中大工道具館にて木の国フィンランドの伝統と革新ー工芸村フィスカルスとニカリの物語ー、ニカリ社のカリ・ヴィルタネンの展示と講演会に行ってきた。

会場に並んだ椅子やテーブルはデザインされてないというほどシンプルな形をしている。よくみるとディテールに特徴が・・・・・作家の余計な個性を無くした家具はこれからの時代には好ましいデザインだと思う。家具デザイナーというよりは家具職人に近い感覚をもっているのだろう。シンプルな形ほど製作は難しくなるのだが、量産可能なようにできる限り簡単な作りになるよう工夫されている。製品には集成材や積層板が多く使われいることもあり工芸品というよりは工業製品。

下の写真は「究極の継ぎ手」を使って組んだ椅子。丸い脚に四方胴付は加工に手間がかかる。細い抜きをそのままホゾにして木栓を打ち込んで抜けないように留めたもの。これも職人技を少なくし量産品としてできる限り構造を簡単にしながら、完成度を高めるひとつの解決方法だろう。細い抜きなので強度を考えて2本にしているようです。

使う立場、設計する立場、作る立場、それぞれに見方が違う。今回は作る立場で下から裏を見る写真が多い。そうすると見えてくのモノが違ってくる。

展示を見た後でカリ・ヴィルタネンさんの講演がある。予約したつもりでしたが、確認の返信メールが来ていないのでリストから外れている。外れた人が多くいたので館長さんの好意で追加の席を用意してくれました、ありがとうございます。

1993年に森の中の工芸の村であるフィスカルスにある築1837年の古い鉄工場に移転。電力はもともと工場にあった水力発電を使っている。小さな製材所をつくってまで近場の森から切り出した材を使うという。できる限りローカルな資源を活かして生産し、地産地消を実践しながら理想的な環境でものづくりをしているようです。吉野材で家具を作る感覚はちかいかもしれません。

講演のなかでも言っていたが、最も直線を使うデザイナーと笑っていた。デザインするときに、はじめに構造を考え、次にどうやって作るか・・・・機械加工か手工具で加工するのか・・・・。キアズマの設計者からの依頼は「デザインされていない存在感の強くないもの」それがルディ・メルツのスツール。作家の個性とかいう余分な価値は邪魔なものになることもあるのでしょう。接着材もよくなって、車のフロントガラスを例えに出して、椅子が10秒でピタッと着くようになればいいと言っていた。伝統にとらわれすに、常に新しいことを考えているようです。


講演会で印象に残った言葉が3つ。

「売れるものを作りなさい。」

「構造・品質・長寿命」

「地産地消」

180120

knos3


c0015099_11230033.jpg

c0015099_11241030.jpg

c0015099_11261897.jpg

c0015099_20341207.jpg

c0015099_11284134.jpg






# by knos3 | 2018-04-09 19:00 | 木工所「折々」 | Trackback | Comments(2)