写真と空と自転車と

芸術の秋 02 拭き漆で甦る大和棟

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わが家にとっては憧れの古民家にお住いのMさん。以前から屋根の葺き替えが終わったとか、京都の唐紙屋に注文に行ったとか、家を継承することを念頭に置いた丁寧な改装している話を聞いていました。その改装が完成して、リノベーション見学会「拭き漆で甦る大和棟」に誘ってくれました。

代々つづく大和棟の庄屋屋敷は築300年。玄関を入って広い土間の天井は、長い歴史を刻んだ太い梁組みが風格を感じます。ところどころに写真パネルが置かれていてビフォア、アフターの比較ができます。室の格を表す高低差はもういらないということでしょう、板間と奥座敷との段が取り払われて、フラットになっていて、張り替えられた玄関の上り框から板の間は全て上質の桧板が貼られ、拭き漆で仕上げがされていました。

奥の座敷は、群青壁に塗られた床の間。金沢では群青や紅殻で塗られることも多く、昔は顔料としてラピスラズリが使われたらしいが、今ではあり得ないものなので化学顔料です。古い写真の群青壁は300年を経ても鮮やかな群青を保っていました。青い壁も違和感はなく、居心地のよい部屋になっている。細かく見ると釘隠しや違い棚、海老束、欄間の意匠などいたるところに細やかな手仕事の技を感じます。唐紙は京都の唐長。もともと使われていた版木が見つかったので同じものにしたそうです。雲母刷りのほのかな輝き。

築300年のお屋敷は古民家ならではのしっかりした構造を活かし、手の込んだ手仕事のいい部分を残して、きめの細かい配慮がなされた改装によって、古くて新しい空間になっています。今の時代にはもう作ることの出来ない古民家の質感がいいですね。これからさらに数百年引き継がれる家になっていました。我家はこんなに上質な古民家でなくてもいいのですが、早く物件が出てくることを祈っています。

土間の奥には5連の釜戸があり、この空間は今後はギャラリーやカフェなどで使われるとか。この角丸両面取りのタイルはもうありません。大切に使ってください。最後の写真は池大雅の書。ちょうど300年前の人なので、300年使われて今でも生きているアートなのだ。さすが・・・・。

トークセミナーは漆職人の辻利和さん。漆職人の仕事が半分に減ると、10人いればすべての職人の仕事が半分になるのではなく、5人に仕事が行かなくなるので、職人の数が減っていくのだそうだ。きびしい世界のリアルな話です。




この家から数分のところにある古市古墳群は、世界遺産登録をめざしています。ユネスコには認めらることより、いいものはいいという、日本人が価値観を失わなければそれで充分。失われていくモノやコトを継承することは大変ですが、いいものはいつまでも長く使い続けることが本当の価値を活かすということでしょう。

最近知ったのですが、古墳は遺産ではなく皇室によって今も継続して祭祀が行われている天皇家の「生きたお墓」なんですね。

181020

knos3



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by knos3 | 2018-11-21 00:00 | 住まい | Trackback | Comments(0)
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