写真と空と自転車と

カテゴリ:木工所「折々」( 8 )

窓辺で本を読む

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この頃は電車で本を読むことが多くなりましたが、本を読むのは明るい朝の窓辺がいい。朝は頭もすっきり、朝の光は美しく、心地よく読みやすい。正座で背筋をのばして、本に向かう。

書院があればなおいいのですが。本を読むための最低限のモノがあれば、余分なモノはいりませんが、私にとっては本に珈琲と煙草は欠かせません。

引き出しに収まる小ぶりの書見台もつくってみました。窓辺は光の向きがが逆光になるので、本が明るくなるように、寝かせた角度の書見台も作ってみようと思っている。

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by knos3 | 2017-11-20 22:57 | 木工所「折々」 | Trackback | Comments(0)

自由制作 米国桜練付御須母油文机

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秋の繁忙期が終わって時間に余裕が出来てきたので、タイムカードをオフにして作りたいモノを自由に制作させてもらっている。ふたりの師匠の仕事を邪魔をしないように!くれぐれも怪我をしないように!と言われている。

かねてから念願の「窓辺で本をよむための文机」を制作する。材料はいいアメリカンチェリーの端材があるので、練付け合板、単板をいただき、突き尻の無垢板はt27x2400程度の大きい材なので分けていただく。同じ木からとった合板、単板、無垢材が使えるのだ。よく見ると合板と無垢材は同じ流れの木目になっている。

一晩で図面を描きあげて、工房で仮の板を組んで全体のバランスと板厚、ちりの寸法を検討する。我が家の狭い窓辺ですが出来る限り幅を広くして、600mmから700mmにする。合板に原寸図を描いてみる。板厚は20mm。引き出しは有効寸法を計算して高さを52mmから60mmに広げる。図面から制作に取り掛かるまでの重要な検討作業。バランスを見て自然に見えるように・・・・。簡素な筆返しがついた小ぶりな文机ですが、いいモノになりそうな予感。

この5ヶ月間見習ってきた技術を活かしてフラッシュ構造で作ってみる。本来は角が傷みやすいので筆返しや板の木端は無垢材を使ったほうが耐久性があるのですが、ここは練付合板を使って微妙な角度を付けた突き付けの加工がどこまで出来るか試してみたかったので、全てフラッシュ構造でつくる実験的試作品。

天板は12mmラワンランバーに4mm練付合板両面張り、筆返しは心材を張り合わせて10/60の角度でカット、4mm練付合板を貼って薄い三角形の筆返しの部材を作っておく。底板、つま板は15mmから自動鉋盤で12mmにおとした心材を組んで4mm練付合板両面張り。組立ては片面貼りのフラッシュパネルをビスで止めてから4mmほど大き目の練付合板を貼り、トリマーで左右2mmずつ端を落とす。木端はアメリカンチェリーの単板を貼る。

あとさきを考えて仕上げの順番を間違えないように組み立てて行く。単板を貼ったあとは端を鉋刃で落として、サンドペーパーで単板の端を天板になじませる。0.3mmと薄い単板なので削りすぎて下地が出ないように慎重に。速乾の接着剤で貼った単板は1日経つと伸びるのでしっかり1日乾燥させてから加工する。

筆返しと天板は目違いが出ないようにと若師匠の言葉、ここの出来次第で目違いがあれば0点だと釘を刺されている。ゆるい角度なので難しいが、慎重にすり合わせする。合板の厚みにもムラがあるので目の流れを見ながら出来る限り同じ合板から切り出す。何度も削っては目と指で確認して、時間をかけて納得のいくまで目違いをなくしていく。目と指先の感覚、それと最後まで合わせるという根性ですか・・・・。

引き出しはスライドレールをつける程奥行きがないのと、文机には吊り桟の方が似合うので・・・・。昔よく使ったという樹脂製の桟をいただく。引き手は彫りこもうと考えていましたが、前板の厚みが23mm必要になるので、有効寸法を優先して、12mmシナランバーに単板貼り。バレンタイン・ローズウッドで引き手を作る。はじめは直接裏からビスで止めてみたがうまくいかないので、小さい引き手にM4ダボを打ち込み、バカ穴を開けて裏からビス止め。

仕上げはオスモカラー・エキストラクリア。浸透性が高く、乾燥時間は12時間。1度塗りでいいと解説には書いてあるが、2度塗りするとより深みが出る。3度目は1000番水ペーパーで油研ぎしてみると、よりしっとりした色合いで表面はなめらかな仕上りになる。作業は30分ほどですが3日かかるわけです。本業の図面は1晩で描きあげ、原寸図での検討から木工作業で3日、仕上げのオイルに3日でやっと完成。若師匠からはまづまづとの評価。

細かいところで失敗は多々ありますが、修行中の身なのでとにかく完成まで作り上げること。正確な作業を確実に積み重ねて、製品としての完成度を高めることがプロの職人の仕事。まだまだ覚えることは山ほどある・・・・・。

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制作過程を備忘録としてここに書いておく。


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原設計図


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原寸図


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ここが一番むつかしいところ。

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by knos3 | 2017-11-04 13:30 | 木工所「折々」 | Trackback | Comments(4)

新作のタイルを見に行く。

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木、土、紙、布、ガラス、金属様々な素材に興味がある。木で作ったものでも可動部には金具もいるし、ガラスも使うことがあるだろう。より細く軽やかな作りには金物がいいだろうし、何か違う質感が欲しいときにはタイルや樹脂を使ったほうがいい場合もある。天然木だけにこだわっていてはでは、イマージの世界が拡がっていきません。だから、常に情報収集。基本的には素材は自分で作るものですが、よりよいモノがあれば力を借りるればいいでしょう。

展示会では数年前の試作品が製品化されていた。その中に気になるタイルがある。タイルの概念を超えてしまって面をつくらない商品。水に強いとか、汚れにくいとか、耐久性がタイルを使う一般的な理由なので、このタイルをどう使うかは使う側にゆだねられている。でも面白い。こういう挑戦をつづけていれば、いつか実を結ぶ時が必ず来るはずです。

3枚目に写真の大判タイルも魅力がある。3000x1000xt3という。近い将来には4000x1500xt3までできるかもしれません。大判なので目地がない、3mmと薄いので軽い、小口の処理ができるので、耐久性があるので台所や家具にも使えます。カットはダイヤモンドのガラス切りで切れるので施工性もいい。テーブルやシステムキッチなどの家具に使うにはもってこいのタイルなのだ。

中国製に追いつかれてしまったイタリアのタイルが、ここ数年で飛躍的に良くなっている。技術革新がすすんでインクを使ったプリンターでの印刷ではなく、釉薬そのものをインクジェットプリンターでパターンを描いていくのだそうだ。だからこそ独特の色合いと柄が実にうまく表現されている。よくある木や大理石の紛い物ではなく、土から作られるタイルそのものの本物感がある。従来の土を練ったタイルから進化して、土をインクジェットで飛ばす技術が最先端なのだそうだ。どんなタイルでもできそうですが、そこはイタリア人、自然の釉薬を活かして、あたかも自然の素材のように作り上げている、色あいも実にいい。

米国の古材を使った木タイルは古びた木の質感をそのまま使っている。これを定着させることができればいいと考えているのですが、これは古材そのまま。

布目の質感をもったタイルも柔らかい質感がいい。次のツヤを消したエンボスの素材にビアンコ・カララのプリントしたタイルも面白い。現実にはないモノだから・・・・。木や石を模したものが多い中で、何かの代替え品ではないモノがいいと思ってしまうのです。

この会社の原点は常滑にある、最後の写真が、常滑焼の自然釉がかかった渋い質感が、日本の焼き物のひとつの原点であり、そこから新たな製品が生まれるはずである。目先の流行に流されずに、人の心に埋め込まれた自然観を見失わないで常に本物を追う姿勢がいいですね。


元INAX,、今LIXILの2017展示会でした。

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by knos3 | 2017-10-20 22:00 | 木工所「折々」 | Trackback | Comments(1)

MOKUSEIDERZ

赤鼻男自立

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http://mokuseiderz.com/より

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朝日新聞デジタル&Mより

関節でお悩みのTwtrf2さんへ!こんなモノがありました。

手のひらに乗る小さな木製フィギュア。関節が止まる秘密はバネ。木の丸い球体を抑えるバネが関節内に内蔵されていて、これでピタリとポーズが決まるらしい。どうかな?




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by knos3 | 2017-08-26 20:00 | 木工所「折々」 | Trackback | Comments(4)

砂浜の生命体

テオ・ヤンセン展

ストランドビースト

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テオ・ヤンセンという人がいる、以前から作品は見たことがありますが、名前を知ったのは、最近のtwtrf2さんのブログ。砂浜で風を受けて動く生物のような彫刻たち。複数の脚がまるで生き物のような有機的な動きを見せる。羽やヒレのような形の帆で風を受けて、砂浜をなめらかに歩くさまが印象に残っている。

今回は三重県立美術館の35周年記念の展示だそうですが、浜辺の生命体がホントの砂浜で歩いている姿じゃないのが少し残念。

27年前から始まって今も生命体としての進化をつづけているようです。構造体はオランダではどこにでもあるクリーム色の細い絶縁チューブを使っていて、結束部はテープからナイロン紐、樹脂製の結束バンドへと強度をもたせつつ簡易な方法へと進化している。

風がなくても動けるように、帆と連動したピストンで空気を圧縮してレモネードのボトルに貯めた圧縮空気をシリコンチューブで駆動部のピストンに送る。オーストラリアから来た生命体の付き人がていねいに説明してくれました。英語が話せればもっと聞きたいことがあったのですが・・・・。言葉の壁は大きい・・・・

作者は作品を生命体として考えている。進化の系統図があって、進化の過程が表されている。初期のモノはPCによるシミュレーションの生命体。1990年、PCから砂浜の世界へ飛び出す。DNAコードと言われる脚の比率を公開して、誰もが使えるその遺伝子を複製して増殖していくと考えている。本気なのかシャレなのか・・・・、自然の力を利用して、科学的に考えられた複製可能なしくみでアートする、本気の遊びとはこういうモノなのだ。

以前から風で動くモノを漠然としたイメージしていた。そよそよといきもののような動きをするモノ。実際の展示を見て、触れて、興味があるので、DNAを分けてもらおうかと考えている。

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by knos3 | 2017-08-24 20:00 | 木工所「折々」 | Trackback | Comments(0)

京都工房めぐり 02

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京都の工房ふたつめは、桂離宮の近くにあるSさんの工房。京都の伝統工芸・調度指物の工房である。

入り口に置かれたうろになったケヤキの根元は本堂の演台になる。バランスを見てどこをカットするか、慎重にラインを決める。山川草木悉皆成仏、すごいモノになりそうな予感・・・・。仕上がりが愉しみである。

道具の話に入り込む。鉋、砥石、鉋盤の調整、接着剤、着色、話を聞けばきりがないほど面白い。鉋のことでは純玉という刻印が入った玉鋼の鉋身が仕上げ鉋には最適。今はもう作っていないので古い道具屋で探のだとか。東寺弘法市でも出ていることがあるので刻印をよく見ること。特殊鋼もいいらしい・・・・。これも刻印をよく見ること。

黒柿風に意図してカビを生えさせたり、鉄で染めたり、蜜蝋とイボタ蝋を混ぜて独自の蝋を作る。独自のモノを作る発想とどこまでも試してみる姿勢が素晴らしい。
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by knos3 | 2017-07-07 19:30 | 木工所「折々」 | Trackback | Comments(0)

京都工房めぐり 01

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奈良のSさんに案内していただいて、京都の工房をめぐる。普段は見ることのできない、仏具工房のまさに職人さんが作業をしている現場。寺院の修復も手がけており、御本尊が祀られる須弥壇と御宮殿。小川三夫さんの本に書かれていたが、西岡さんの弟子になるまでは仏壇屋で修行をしていた訳がよくわかりました。仏壇はまさに宮大工が手がける本堂の須弥壇と御宮殿の仕事を縮小して再現された寺院建築家具だった。

工房では丁寧に作られた部品ひとつひとつを組み上げて、本堂の御宮殿を作っていた。木地の状態で見ても美しいものでした。直線がほとんどない作りなので、大量の原寸の定規や型板を使う。部屋の隅には、これまた大量の墨付け棒が立て掛けられていた。使っている気はシベリア産の紅松。数年ねかせて木取りしてからさらに数年、いい材料をつかうので100年もつのだとか。修理すればさらに100年と言っていた。それでも、今の時代はいい薄板がないそうで、かわりに合板が使われていた。

どうしても道具類に目がいってしまう・・・・。研ぎ場に置かれた砥石や棚に納められた数々の鉋、小さな豆鉋はやはり自分で作るモノなのだ。見事に手入れされた数々の道具に囲まれた、あこがれの世界なのである。

漆は下地から仕上げまで、金箔貼りもここで仕上げられる。金箔や彩色される前の、胡粉で下地処理された白い彫物の欄間は簡素で美しい。エルギンマーブルのように・・・・・。彫物が施された白木の前卓、まえじょくという須弥壇の前に置かれるもので、燭台、香炉、花瓶を置く重要な役割をする台。

仏の世界は、普段は馴染みのないモノですが、木地、漆、金箔、彫物、金具と京都ならではの徹底した分業で作られており、技術のレベルが高くすばらしいモノ。見ればいいモノはいい。装飾された彫刻がまたすばらしい。

金箔貼りの杯をひとつ作らせていただいた。赤坂離宮で使われたものと同じ金箔らしい・・・・。本物の金箔の輝きは美しいものです。残念なことにポツポツと虫食いができてしまった。

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by knos3 | 2017-06-14 20:00 | 木工所「折々」 | Trackback | Comments(0)

フィンランド・デザイン展、アルヴァ・アアルトの椅子


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愛知県美術館で開かれているフィンランドデザイン展に行ってきた。フィンランドのデザインが近代からミッドセンチュリーをへて、今どうなっているのか確認をしに・・・・。一昨年にコペンハーゲンとヘルシンキに行ってから北欧のデザインが気なっている。

現地で感じたのは、今でもミッドセンチュリーのデザインが彼らのライフスタイルとして生活に溶け込んでいるということ。ミッドセンチュリーのデザインは流行(ファッション)という消費され流されていくものではなかった。洗練されより質の高い生活のためのデザインが求められているのだろう。

今回のフィンランド・デザイン展ではおなじみのアルヴァ・アアルトの展示の前で、同じ椅子が休憩に使われていた。アームチェアARMCHAIR 41 "PAIMIO"、やCHAIR 611、STOOL 60 など。皆、好きな椅子に座って「これがいい」とか言ってます。実際に座って体験できるのはいいことです。

その中では黒いベルトで編んだCHAIR 611が座りやすかったので、監視員の気配を感じながらもipadの水平器アプリで座面の傾斜角と背面の傾斜角を測ってみる。

座面が3度、背面は76度。

側板が微妙な曲線で奥が下げてあるのと座面が3度というのが腰が奥に落ちつく絶妙な角度だった。布のベルトが少し沈むのもいいのかもしれません。座面の奥行きが浅いので私にはちょうどいい。我家の標準はヒノキの椅子ですが、座面が2度、背面は79度なので、CHAIR 611の方がやや角度が寝ていることになる。3度は腰が安定する角度なのだ。


ARTEC HPよりCHAIR 611

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ARTEC HPより
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今はフィンランドの家具メーカーであるARTEC社の製品。

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図録に載っている写真のPAIMIOは座面が積層になっていて、座板と背板の厚みが変えてある。座板以外は単板一枚分薄くなっている。角度は座面が7.3度、背面が66度。形が体に合っていないので、私には座り心地はいいと感じられなかった。

もひとつ、曲げ木張り地の椅子が、座面が9.4度、背面が75度になっていた。人の姿勢も座り方も様々、人種によって骨盤の角度も違うので、一概には言えない悩ましい問題です。

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by knos3 | 2017-05-08 19:30 | 木工所「折々」 | Trackback | Comments(2)