近所に改造中の実験住宅があった。
外観はごく普通にある木造モルタル、白いリシンを吹き付けた街なかの民家。「実験住宅 手作りの超ローコスト住宅」こんな看板が出ていた。なかに製作中の人がいる、声をかけて見せてもらった。設計者で制作者・オーナーでもある作者だった。
内側から見ると大きな空間が広がる、古い家が、外壁と屋根を残して柱と梁だけになっているが、ところどころに新しい梁が掛けられて床の高さが替えてあり2階の奥がスキップフロアになっている。柱と梁の変化がリズムを感じる面白い空間だ。奥から切妻の形に光が差し込んでいて明るい。
入った所には低い梁、頭があたりそうだが、これが良いのだそうだ。今時のバリアフリーの考えはあかんと作者は言っていた、床は水平ではなく波のようにうねったもの、2階へ上がる階段の登り口も茶室にあるようなにじり口のように小さく低い。戦う設計者だ。
昨年からユニバーサルデザインの大切さを、バリアフリーの必要性を身にしみて感じているから、私自身は家のなかでまで戦いたくないんだけどね。与えられた条件の中でAを取ればBにしわ寄せがいくならば、新たにCを考えなくてはいけない、それでもだめならDをというのが私の考えですから、A・B・C・D・・・・・とどこまでも考えてみる、頭のなかでぐるぐる回って最後に最良の答えが出るものだ。
作者はこれを自分自身の手で造っている、何をするにも一から工法を調べないと何も出来ない、造ってみて改めて大工の技術を素晴らしいと言っていた。さまざまな工夫がなされた実験住宅はまもなく完成、床が仕上がれば引っ越してくるという。また見に来ると声を掛けてきた、出来上がりが愉しみだ。
070421
knos3