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NIKARIの工場

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今回の北欧旅行の目的のひとつ、NIKARIの工場を見てきました。1月に竹中大工道具館で開かれたNIKARIの展示とカリ・ヴィルタネン氏の講演を聞いたことがきっかけです。

ヘルシンキから100kmほど離れたフィスカルス村にあり、元は「フィスカルス」という世界的なハサミメーカーの生産拠点だった村でした。工場の移転により一時廃村になっていた村に、カリさんや陶芸家・ガラス作家・染色家たちが集まり工房を開いたことで人が集まるようになり、今の姿になっていったそうです。

森に囲まれた古いレンガ造りの工場で、工場の脇を流れる小川から水を引き、わざわざ手間のかかる古い発電機を修理して、水力発電で電気を起こして、工場の電気はすべて賄っている。周辺の森から切った木を小さな製材所で加工して、バーチとメープルの限られた材しかないが、製品の約10%は近隣の材を使っている。顧客の要望もあるので輸入材も使っていますが、実際に話のとおり「地産地消」、できる限り持続可能な体制を維持して家具製作を行っています。

工場は思ったよりも小さく見渡すと200坪程度でしょうか、他に倉庫や塗装室、製材所、発電室、ショールーム、オフィスなどもあるのでかなり大きいようですが。見慣れた機械がならぶ工場で見かけた家具職人は3人、1品ずつ仕上げているようです。工場の工員というよりは家具職人の工房といった風情です。カリ・ヴィルタネンさんの職人としての生き方が現れているようです。これが成り立つということがすばらしい。

横切り昇降盤はアーテンドルフでした、カリさんはMARTINと書いてある自動鉋盤を「ベンツ」と言ってましたが、いい機械という意味でしょう、たぶん。大きなバンドソーもあって簡単な製材ならここでもできるようになっていました。作業スペースが広い、同時に進行している製品が多く並んでいました。

今の時代に理想的に見えるこの工場も、さまざまな経緯があって成り立っています。カリさんが希望して現在は女性のヨハンナさんがCEOになっています。NIKARIをグローバル市場に展開したのも、ヨハンナさんになってからのこと。NIKARIを世界に知ってもらうために世界の有名デザイナーと月に1点づつ新製品を発表していったCorection 12 DESIGNER FOR NATUREというシリーズもあります。水力発電も多大なコストをかけてまで、持続可能な企業の姿勢をあらわしたものです。付加価値ではなく本当の価値を知ってもらうための正しいブランディングなんでしょう。

工房から企業へと発展させ、地産地消のローカル企業がグローバル市場に展開していくお手本のような木工所でした。カリさんのここまでの長い実績があるからこそ成り立つのでしょう。レクチャーは英語なので、半分聞き取れていないませんが工場とを一見して、めざせNIKARIと思わせるすばらしい木工所でした。わざわざここまで来た甲斐がありました。

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珍しいこともあるものです。ヨハンナさんとのメールのやり取りの中で、日本の団体と同席することになると聞いていましたが。前勤めていた会社の人が来ていました。東京の方なので面識はありませんでしたが、会話の内容からわかってしまいました。皆さんが同じ業界の方たちだったので、まさかフィスカルスで・・・・驚きとともに不思議な感じがしました、

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by knos3 | 2018-07-20 15:50 | 北欧旅行